FILE:068 Xenosaga THE ANIMATION

◆評価:★(10)

TITLE

Xenosaga THE ANIMATION

(ゼノサーガ・ジ・アニメーション)

DATA 2005年
STORIES 全12話

 

◆あらすじ。

T.C.4767年――人類が生誕の地である地球を捨ててから、四千年の月日が流れていた。人類は今や、存亡の危機に瀕していた。突如出現した未知の存在・グノーシスによる、断続的な攻撃にさらされていたのだ。ヴェクター・インダストリーに所属する若き科学者シオン・ウヅキは、星団連邦軍の巡洋艦ヴォークリンデに乗り込み、グノーシスに襲われて滅亡した惑星の調査に赴く。航行の途中、ヴォークリンデはゾハルと呼ばれる物体を回収する。ゾハルにまつわる様々な思惑が絡み合い、呼び寄せられるようにグノーシスの大群が出現。襲撃を受け、艦隊が無残に壊滅してゆく中、対グノーシス用に開発された最強の戦闘用アンドロイド・KOS-MOSが、誰の命令を受けることもなく起動する…。

※引用元『Xenosaga THE ANIMATION』公式サイトより。

◆第1話から置いてけぼり。

原作が壮大なスペース・オペラRPGであるだけに、設定がかなり細かく作り込まれている……という印象を受けた。

 

印象だけで実感が伴わないのは、劇中でキャラクターが喋っていることの半分も視聴者が理解できないまま進んでいく「置いてけぼり感」にあるのだと思う。

 

「ゲームをやってなければ分かるわけ無いだろ!」と原作ゲームのファンからは突っ込まれそうなところであるが、逆にゲームファンへのサービスとして映像化しているのなら地上波でやらずOVAでやればいいのに、と返しておこう。

それくらい、一見さんお断りな雰囲気で物語は進んでいく。

 

原作がRPG3本シリーズで制作されており、本作『Xenosaga THE ANIMATION』はゲームで言うところのエピソード1を映像化したものである。

 

とは言え全12話なので、話はかなり強引に飛ばして進んでいく。

 

何を言うにも、劇中で喋っている「専門用語」が何を言っているのかさっぱりわからない。

 

それでもまあ、いずれ理解できるような説明タイムがやってくるだろう……なんて呑気に観ていると、あっという間に最終回。

 

え? けっきょくなんの説明もなく進んできちゃったよ……と唖然とする中、物語は終わりを告げるのであった。

 

すげえ、あんだけ小難しいこと話していて、その概要すら教えてくれない作品なんて初めて観たぜ……ゴクリ。

 

あとで混乱しないようにセリフを聞き逃さないように注意して視聴していたが、その労力も水泡に帰す。

 

なぜなら、全部聞いたところで、その意味を説明されないのであれば、まったく聞いていなかった状況と大差ないからである。

 

◆主人公が定まっていない。

さらに混乱に拍車をかけているのが「メインキャラクターの不在」現象である。

 

ヒロインであるシオン・ウヅキ、そして謎のアンドロイド兵器KOS-MOS(コスモス)。

他にもエピソードとして大事なキャラが数名いるが、メインはこのふたりと言っていいだろう。

 

そんな彼女たちの視点によって概ね物語が進んでいくのだが、結局のところ、誰が何をしたいのか? という最大公約数としてのテーマがまったく見えてこなかった。

 

一番大きな「やりたいこと」が観えない(あるいは感じられない)ままクライマックスまで行ってしまうと、どんなにスケールの大きな事件があっても、まったく他人事のニュースのように冷めたままの心情でしか視聴できない。

 

おそらく、本作では「超科学」「哲学」「神・宗教」を融合させて、その先にある「なにものか」についての言及まで進んでいきたいのだろう……ということは漠然と理解できる。

 

だが、敵の名前(グノーシス)からも分かるように、そもそも最初の風呂敷が大きすぎるのである。

 

人類全体として「グノーシス主義」の確固たる定義がされているわけでもないのに、聞きかじった程度の知識を並べて、誰にも理解できない用語をまくしたてて煙に巻くような作り方は、あまり感心できないなあ、と思いました。

 

原作ゲームはどうなのだろう? と視聴してて思ったが、こんな屁理屈ばっかりこねている作品をプレイしたい、と思う視聴者がどこにいるのだろう?

 

というわけで販促としても失敗気味なのではないか? 大丈夫かナムコ……と心配になってしまいました。

◆SF設定を勘違いしている良い例。

SF設定というものは世界を解り難くするためのものではない。

 

我々が生活している現実世界を便利にしたり、不安定な混沌要素を盛り込むためのファクターであって、ファクター(=要因)そのものの意味が視聴者に理解できないのは本末転倒である。

 

「なんかよくわからないけど複雑そうなことしてるなあ」

という印象以上のものを抱けない設定。そして人類として4千年後の超未来を生きているという設定。それらについて意味不明の言葉で埋め尽くされているということは、(つまり現代の言葉で簡略に説明できないのであれば)そんな設定は必要ないのである。

 

なぜなら、そんな設定は、神話の時代における物語となんら変わることがなく、不可思議に連なる不条理な物語と一緒だからである。

 

神話と一緒ならばどんなに奇想天外な物語だろうと「当たり前」にしか映らないという、物語を作る上での基礎的なことが欠落している。

 

とにかく複雑な用語を連発して、硬派なSF作品であることを強調したいようであるが、そのわりに、KOS-MOSの武装については、自由自在に腕が武器になるなど、やっていることが「特撮」なみの自由度である。

グニャグニャ便利に形を変える構造ならば「人工兵器」である理由が逆に邪魔になることくらいわからないのだろうか?

 

だれも気づかなかったのか、スタッフ間の仲が悪くて「とっとと終わらせようぜ」という空気の中での仕事だったのか、それはわからない。

 

じっさい、用語を噛み砕く説明セリフも描写もないということは、誰もそれを提案しなかったのか、却下されたかのいずれであって、どちらにしても良い作品を生み出す環境とは程遠いという状況だったのだろうな、と邪推までしてしまう。

 

すべての説明をしろと言っているのではない。視聴者がヒントを手がかりに謎を解く楽しさを与えてくれる程度の情報が欲しいだけなのだ。

 

好例として上げれば、『新世紀エヴァンゲリオン』における「人類補完計画」などがある。この計画に連なる「死海文書」「アダム」「ロンギヌスの槍」などが言葉や映像で登場し、神話をなぞらえているということを理解させた上で、それがどのような役割を与えられていくのかを考察する楽しみがあるように、難解なことをやりたいのなら、それをイメージさせる情報が必要だということだ。

 

普通の一般視聴者が観たいのはスリリングな設定であり、設定厨が編み出したマスターベーションとしての設定ではないのである。

 

◆声優について。

一言。

こんなに豪華なのにもったいない。

 

とくに保志総一朗さん、山寺宏一さん、平田広明さんの御三方。

どなたも主役級の方々だというのに、その良さがまったく伝わってこなかったです。

 

◆総評。

設定がどうの、物語がどうのと書いてきましたが、そもそも致命的なのが作画が最低レベルであるということ。

 

ゲームがオリジナルであり、そのゲームがどれだけ描写に力を入れていたのかは、実際にプレイしてみないとわからないが、たぶんもう少しマシなはずである。

 

どうしてアクションシーンが重要なキーとなるSFだというのに、そこをないがしろにして制作されてしまうのか? それが最大の謎である。

 

そんな作品において、たったひとつだけ良い点がありました。

 

それはお粗末な作画ながら、なぜかヒロインのシオンは可愛くみえたことです。

 

好みの絵ではないし、動きもカクカクではあるが、なんとなく彼女の可愛さで最後まで観てしまった感がある。

 

いったい自分のどこの琴線に触れたのかは、謎である。

 

何にせよ、本作を観終わったあと抱いた感想は次の一言。

 

無理やりアニメ化しなくてよくね?

でした。

 

こんなに文句ブーブーなのになぜ最後まで観たのか? 

 

それは作中の設定について、なにかしら理解できる情報を提示するのかどうかということの確認作業のためである。そして、その情報を与えようとしない作品をなんというか、と聞かれれば自信を持って(全話視聴した視聴者として)こう答える。

 

残念な作品である、と。

 

 


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