FILE:066 ファイト一発! 充電ちゃん!!

◆評価:★★(20)

TITLE

ファイト一発! 充電ちゃん!!

(ファイトいっぱつ じゅうでんちゃん)

DATA 2009年
STORIES 全12話

 

◆あらすじ。

平凡な大学生・近江閃登の前に突如として現れた女の子・ぷらぐ。彼女はこの世界とは違うパラレルワールドから、人知れず元気の無い人たちに元気を注入する為にやってきた『充電ちゃん』と名乗る。 あまりに荒唐無稽な話に半信半疑だった閃登も、次第にぷらぐの存在を認めはじめ、ぷらぐの仕事に協力することに…。 プラグの同僚・アレスタ、妹のはこね、幼なじみの依緒乃も巻き込み、ぷらぐと閃登が織り成す、ちょっとフェチでエッチなハートフルアクションコメディ!!

※引用元『ファイト一発! 充電ちゃん!!』アニメ公式サイトより。

◆あらすじに惑わされてはいけない。

上記の公式サイトに書かれていた「あらすじ」には「ちょっとフェチでエッチな……云々」と書いてありますが、嘘があります。

 

どちらかといえば「かなりフェチでエッチ」な内容です。

いや、これでも精度が低いな。

 

オブラートを取り払ってちゃんと性格に表記すると、

 

「すごく変態的でエロい、ハートフル(?)アクションコメディ!!」

です。

 

まかり間違っても、家族や恋人、さらにオタク耐性のない友人知人の前では観ないように。

あなたの人格が疑われかねない作品だということだけは、注意喚起のために先に言っておこう。

◆視聴環境を整えてから観ましょう。

概要はまともに聞こえます。

様々な理由から「生きる気力を無くしている人」に、こっそりと元気を充電するのが仕事であり、ヒロインの「ぷらぐ」はこの仕事(『充電ちゃん』と呼ばれている)をしているパラレルワールドから来たOLさんである。

 

「充電行為」という性質上、外回りになるんだからOL(オフィス・レディ)ではないが、本人たちも自分たちをOLと呼んでいるので、それにならうことにする。

 

ざっくりと世界観を説明すると、

現実世界とは異なる平行世界(ライフ・コア)に存在する「ネオジム綜合充電会社」に就職しているのがヒロイン「ぷらぐ・クライオスタット」と、ダブルヒロインの片割れ(エロ担となる)アレスタである。

彼女たちは人間たちが住む現実世界を「パラレル」と呼称し、生命震度の著しく低い人々に「充電」を行い、回復させていく。

 

現実世界の人間には見えないはずの存在であるにも関わらず、本作の主人公、近江 閃登(おうみ せんと)だけには、その存在を知られてしまい、依頼協力して「充電作業』を行うことになる。

 

「充電」とは。

巨大なプラグの形状をした「リフレッシャー」と呼ばれる器具を充電対象者へ差し込むことで、生気(文字通り生きる気力・活力)を回復させる行為のことを指す。

 

電力を利用しているらしく、しっかりアース線を大地に挿しておかないと漏電する恐れがある。

なんで電気が「活力」に変換できるのかは謎である。平行世界の技術力はそれだけ進んでいるということになっている。

 

どこがエロいのか?

というわけで、平行世界からやってきたドジっ娘OLが現実世界で人々を救っていくという内容ですが、このストーリーの流れにおいて、とにかく隙あらばエロが挿入されてきます。

 

触手も出てくるし、ことあるごとに絶頂失禁シーンが出てきます。

 

おいおいおい、攻めすぎだろ。なんだこのアニメ!? ホントに地上波で流されたのか?

と、疑いたくなるほどのシーンが目白押しである。

 

さらに、これは個人的にまったく受け入れられない設定なんですが、ことあるごとに主人公・近江閃登がぷらぐやアレスタをバットで殴ります。

 

最初観たとき「まじか?」と思いました。

 

相手が別世界の人間であったとしても、さらに痛みを感じないという設定が存在していたとしても(そんな設定ないけど)体格のいい男子がバットで女性を殴るって……。

 

かなり引きました。ギブアップしようかどうしようか迷ったくらいドン引きです。

 

ただ、話の内容そのものは非常に興味深い設定だったので(後述します)、なんとかこの部分だけは我慢して視聴を続けることにしました。

 

というわけで、主人公にはまったく共感できない作品である。

 

話を戻して、最初に書いたとおり、全話かならず過激なエロシーンが登場するので、視聴のさいには周囲に充分注意してから再生ボタンを押すことを強く推奨いたします。

 

家族と同居している人は、うっかりお母さんが部屋に入ってこないよう、最大限の注意を持って視聴に望んでください。

……って、そこまで気合い入れるほどの作品ではありませんが(笑)。

 

◆知れば知るほど変態ワールド。

どうしてこれほどまでに「変態ワールド全開作品」となったのか?

その理由を解説するには、原作者の「ぢたま(某)」氏から紹介しなければはじまらない。

名前の読みはそのまま「ぢたまぼう」と読む。

 

彼がメジャーになったのは作画を担当したマンガ『まほろまてぃっく』がアニメ化され、そのアニメがヒットしてからである。

 

しかし、それ以前から、とある界隈(=成人マンガ界隈)では、その特殊な性癖から一部のコアなファンからは熱狂的な支持を得ていた。

 

そんなぢたま(某)先生の成人マンガの代表作ともいえるタイトルが「聖なる行水」である。

内容はここでは差し控えるが、この作品が話題となり一躍「おしっこ漫画家」という名声を欲しいままにしたという経緯がある。

 

マンガのタイトルと、彼の字(あざな=ニックネーム)が示すとおり、ぢたま(某)先生は自他共に認めるほどの変態漫画家なのである。

 

そんな彼が描いているマンガが原作である本作が、普通の作品であるわけがないじゃないか!

ましてや思春期の男子学生を虜にする禁断のマンガ(とアニメ)である『kiss×sis』の原作者となればなおさらである。

 

そう、はじまりからして変態ワールド全開なのである。

 

作品の内容が「今回たまたま」エロいわけではなく、成人指定がかからない、ぎりぎりのラインを狙い撃ちしてエロを描くことに情熱を燃やしている作者の作品なんだから、エロくて当たり前なのである。

 

それもただのエロではなく、どちらかと言えば変態よりである。

 

作者も自覚しているし、ファンもきっと自覚している。

 

不幸なのは、耐性のない人が観たときである。

何も知らずに「なんとなく可愛い絵柄だから観てみようかな」と、軽い気持ちで視聴してしまったとき、それこそ失禁を禁じえないほどのインパクトがあるということだ。

 

かくいうアニシエも、なんの前情報も入れずに視聴して驚いたクチである。

 

幸い、エログロ両方にある程度の耐性があったおかげで全話視聴できましたが、まったく耐性がない人は1~2話でドン引きしてフェードアウトしてもまったく不思議に思わない作品である。

 

ここまでハッキリと観る人と観ない人を線引している作品も珍しい。

 

内容はド変態だが、そのスタイルはまぎれもなく硬派である。いや、別に褒め言葉じゃないからね、今回は(笑)。

 

設定とストーリーだけだと、まったくエロ要素はない。本当に開けてビックリな作品でした。

とはいえ、ドぎついシーンのほとんどは作中アニメとして放映されている『魔法少女スィーティミリィ』の中でのこととなっている。

 

まあ、でも、いくら劇中劇だからといって、そこまでやっていいのか? と心配になるほどドぎついシーンの連続ではあるが……。

 

原作にはないアニメオリジナルの設定だそうですが、この劇中劇『スィーティミリィ』に関して、ぢたま(某)先生がどれほど関与しているのかは、わかりませんでした。

 

何度も繰り返しになりますが、視聴環境をよく整えてくださいね。

人格から否定されかねないほどの衝撃がありますからね。

◆声優について。

とくに語ることは多くない。ただ三石琴乃さんが出ているということだけ。

10年前はこういう作品にも出ていたんだな―、という感慨深い気持ちにさせてくれます。

 

声優業も奥が深い。

 

役柄は主人公近江閃登のアルバイト先の店長さん。なんと、名前もないのである。

 

◆それでも意欲的な取り組み部分はある。

基本的にはド変態アニメなのだが、「充電ちゃん」という存在を作り出し、現代において病んでいる社会の実情を浮き彫りにしつつ、それをコメディとして昇華するよう努力していることは認めるべき点ではないだろうか。

 

アニシエがドン引きしながらも最後まで観ようとした理由もここにある。

 

「鬱」とか「自殺」というキーワードが出てくるように、本作は視点を変えるとかなりシビアな事象を取り扱っていることが分かる。

 

エロとキャラクターによって作品全体の雰囲気は明るいですが、現代病とも言える精神疾患になりかけている人々を救うという着眼点は世相を反映した現代ならでは着眼点と言えるのではないだろうか。

 

なぜなら「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、さらには「連邦軍」も「ジオン軍」も、大人の精神病を救うためには戦ってくれないからだ。

 

やってることは、じつはすっごく有意義なのに、ただ、それの表現の仕方がアブナイ路線で突っ走っているという、ド変態ワールドを描いているせいで現代病としての「無気力」が隠れてしまっているのはもったいないの一語に尽きる。

 

そこまで深く考えているのかどうか分かりませんが「エロスと元気が地球を救う!」というくらい脳天気なスローガンをもって、変態要素と暴力要素を控えめにしたら、あるいは化けた作品になったかもしれない。

 

しかし、それはそれで、ぢたま(某)先生のファンからはお叱りのメールや電話が殺到するかもしれしませんが(笑)。

 

なんだかんだ言って「充電してほしいわぁ~」と思ってしまう社会人視聴者は多いんじゃないだろうか。

 

◆総評。

先述したことの繰り返しになりますが、エロと暴力表現がなければ、子供と一緒に観れるくらい設定と内容はあくまで人助けを前提としています。

 

人の心の中をリフレッシュするという発想は、意外にあるようでない設定である。着眼点は素晴らしいと思います。

 

キャラクターも可愛いし、個性も出ているので、観ている分には飽きがこない。

 

なにを言うにも……「失禁」へのこだわりさえなければ、普通レベルに安心して観れたなあとは思います。

 

逆に言えば、この「失禁」が話題にならなければ、もしかしたらここまでアンダーグラウンドな人気はでなかったかもしれません。

 

いやはや、人の心は分からないものですね。

 

変態属性がある方にはおすすめできますが、それ以外だとちょっと、どの辺の層におすすめできるのか……よくわからない作品でした。

 

エロはエロで奥が深いし、ジャンルも広いなあ……。と、そんなことを実感させられました。


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◆ぢたま(某)先生、渾身の作品。後半意外に内容はマジメパートも多いです。