FILE:059 B型H系

◆評価:★★★(40)

TITLE B型H系(ビーがたエッチけい)
DATA

2010年

STORIES

全12回(全25話)

 

◆あらすじ。

誰もがうらやむ美少女高校生。

彼女が“初体験”の相手に選んだのは、どこにでもいそうなごく平凡な男の子で・・・!?

 

「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で好評連載中!さんりようこによる、人気ラブコメ4コマがついにアニメ化!

 

ここぞというときにアガってしまい、これまでに男性とつきあった経験のない山田。

しかし、エッチへの興味は人一倍!

いつも妄想を繰り広げていた彼女は、書店で転びそうになったところを、

同じ高校に通う平凡な少年・小須田崇に助けられる。

そして「男気があるが、やり慣れてなさそうで手頃そう」という理由で、彼を初体験の相手に決めるのだが!?

 

性の知識は豊富なものの、経験ゼロな山田の行動は、大胆を通り越して暴走気味。

図書室でいきなり自分のブラジャーをみせて小須田に迫ったり、はたまた彼と2人きりになると、

途端に初体験の様子を妄想したり・・・。

空回りしながらも奮闘する山田は、小須田を落とすことができるのか!?

※引用元『B型H系』アニメ公式サイトより。

 

◆タイトルがすべてを物語ってます。

週間ヤングジャンプで連載された、さんりようこによる4コママンガ作品。

 

男性誌に属する雑誌で女性漫画家が女子高生の視点で描く、ちょっとエッチな青春ラブコメというのが、簡単な説明文としてしっくりくるだろう。

 

ヒロインである山田(下の名前はない)は「セフレ100人」という目標を持つ、エッチなことへの興味が旺盛な美少女である。

 

高校時代の、思春期真っ盛りの男女であれば、性別問わずに「脱・童貞」「脱・処女」を目標に、エロい妄想をちりばめつつ毎日を送っているということがよく表現されている。

 

「ああ、そうそう。確かにこのくらいの年齢のときはエロいことしか興味なかったなー」

と、女性視点の物語なのに、男としても懐かしく思えることが色々出てくる。

 

ということは、男女の区別なく、この時期のエロい妄想癖というのは、共通の流行り病みたいなものなのだろう。

 

もちろんそれが全てではないし、じっさいに異性に興味が沸かず、自分の趣味やスポーツに没頭していた人達もいるだろう。

 

だが、そういう人たちはそもそも、本作のような欲望むき出しのアニメなど観ることはないので、ここでは意図的にそういった人たちを見ないふりして話を進めていく。

 

つまり、本作は同じような苦悩を体験した人限定で楽しめるような作品である。

 

そして原作を連載していた『ヤンマガ』という雑誌そのものが、そういった欲望丸出しの読者層を狙い撃ちにしていたのだから、とうぜんの帰結としてストイックな人たちは除外されても仕方がないのである。

タイトルが示すとおり『H系』じゃなきゃ観てもしょうがないのである。

 

◆同年代も、先達も楽しめる。

どれほどギャルぶっていても、地味で大人しい男を選ぶヒロイン山田の小心ぶりは男女問わず共感できる部分があるのではないだろうか。

 

未経験な人間からすれば、いきなりライオンを相手にするより、ハムスターの方が気楽だし、自分らしく振る舞える。

 

あるいはいきなりF1を乗りこなすことができないように、まずはオートマの軽自動車やゴーカートで感覚をつかんでいきたい、というのは人間の本能的な心理である。

 

互いに経験値が少ないと、それだけで相手に対する想像が膨らんでしまい、ついつい先走ってしまったり、リードしなきゃいけないところで何をしていいかわからずにオロオロしたりと、恋愛にまつわる失敗談が多い人ほど重なる部分が出てきて、恥ずかしい過去の記憶との戦いにまで発展して煩悶してしまいます。

 

いやあ恥ずかしい。

 

想定していた以上に、そして想像していた方向とは違う意味で、ニヤニヤしてしまう作品である。

 

経験が少ないからこそ誰かを好きになる理由も単純だったりします。だから若い頃の恋愛は長続きしないことのほうが多いわけですね。

 

だけどキッカケとして「好き」になった相手を知るうちに、本当に相手を好きになったときというのは、けっこう気づかないうちに惚れていたパターンが多いと思います。

 

そんな甘酸っぱい恋愛模様が女性漫画家ならではの視点で描かれていると思います。

 

コメディとのバランスも良い。変にシリアスになって重苦しくなってくると、ちょっとしたパンチラを楽しめなくなりますからね。

◆声優について。

とにかくヒロイン山田役を演じた田村ゆかりさんに一言、いや二言いいたい。

 

「いただきます!」「ごちそうさまでした!」である。

 

なんていうか、普段はおませな幼女キャラを担当することが多い方なのですが、今回はエロ妄想全開の女性キャラを演じています。

 

それだけでもう、ひたすらにありがとうございました。

 

さらに主題歌『教えてA to Z』も可愛さ爆発で歌い上げてくれてます。記事下にさわりだけ聞けるリンクを貼っておきますので、興味のある方はご視聴ください。

 

◆総評。

視聴して、比べてみてわかったことだけど、やはり漫画雑誌系とラノベ系では恋愛の「質」的なものが若干異なるような気がします。

 

ラノベの女性像というのは、どちらかというと男性陣に対して人気が得られることを前提としたキャラ設定が多いように思います。

 

今回の作品は煩悩全開、お色気全開な女子高生が初体験をすることを目的に、冴えない男(一応主人公)に接近し、やがて恋心を芽生えさせていく……という、男女逆転劇として観ることができるわけですが、その勢いというか妄想具合が、(ラノベと比べて)生々しい印象を受けました。

 

ヒロインと主人公の立ち位置が昔の(昭和後期、平成初期)のラブコメと逆転しているだけのことで、それは時代背景によるものなので、その立ち位置が真新しいとは言い難い。

 

だが、いつの時代においても青少年の健全な情操教育(笑)としては、通るべき道のひとつとして、こういう作品のひとつやふたつはいつの世代にもあって良いと思っている。

 

それにしても、現代社会の中高生で童貞な男子というものは、本作のような主人公を見ていて、そこに共感を得ることができるのだろうか? と首を捻る。

 

あそこまで奥手な男子など存在しないし、かと思えばネジが飛んでしまったようにとつぜん無謀な襲い方してみたりと、じっさいにいたらちょっと引きますレベルなんですが、いかがだろうか?

 

しかしまあ甘酸っぱい恋愛の失敗談をかなり大袈裟にデフォルメしている、と思えればそれほど気にはならないかもしれない。

 

肉食系男子だったオジサンからは、ちょっと信じがたい据え膳なわけだが、時代なんでしょうかね(寂)。

 

というわけで女性マンガ家の作品ということもあり、過激なエロさよりも、青春の甘酸っぱくてほろ苦い、思わず自分の若いころを思い出してしまう良作ではありました。

 

未成熟な男子と女子の心の掛け合い、言葉のすれ違い。妄想的エロスに煩悶するところも含めて、楽しめました。

 

はたして本作は女性にも共感が得られる作品なのかどうか、そこがもっとも知りたい作品である。

スパイス的なエロスを含めた恋愛ラブコメが好きな方にはオススメできる作品です。

 

余談。

【余談その①】

その昔、ビデオレンタルショップで本作を見かけたとき「こわいもの知らず(笑)無修正版」と書かれていて、ものすごく気になっていたことを思い出す。

しかしアニシエはそんなことを忘れきってブルーレイ版で観てしまったので、どこに修正が入り、どこの言動に音声差し替えが行われているのか、知ることができませんでした。

無修正とありますが、それほど過激なものはあまりなかったですよ。

18禁じゃないから当たり前なんですけどね。

【余談その②】

事実確認のために色々と調べていたとき、ウィキペディアから本作の公式サイトへのリンクをクリックしたところ、謎の海外不動産ページへと飛ばされました。

 

なんだこれは?

 

URLは変な文字列でもない。おそらく公式サイトは閉鎖して、ドメインを売りに出したのかもしれない。

なにせこの不動産サイトの名前が『Bgata-Hkei』と、まんまなのである。

 

日本人がやってるの? それにしてもちゃんと下調べしてからサイトの名前決めたほうがいいんじゃない? エロアニメに近い作品と同名ですよ?

と、変なところで心配してしまいました。

 

というわけで、アニメ『B型H系』のサイトはすでに閉鎖されていました。現在はインターネット・アーカイブによって閲覧することが可能である。

 


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