FILE:025 魔神英雄伝ワタル

評価:★★★(40)

 

TITLE 魔神英雄伝ワタル(ましんえいゆうでんワタル)
DATA 1988年

 

◆あらすじ。

 戦部ワタルは、正義感が強く元気な小学四年生。ある日、図工の時間に作った粘土細工の不恰好なロボットに、登校途中“龍神池”で拾った勾玉を何気なくその首にかけると、たちまちクラスの人気者になってしまう。ロボットに“龍神丸”と名付けたワタルは、放課後下校途中に龍神池へ寄ると、突然眩い光と共に目の前に現れた金色の龍によって、異世界・神部界へと連れて行かれてしまう。
 たどり着いた神部界にそびえる創界山は、かつて美しい七色の虹が輝く山だった。しかし、悪の帝王ドアクダーの出現によって虹は色を失ってしまい、民衆はドアクダーの配下によって苦しめられていた。
 ――異世界から「ワタル」という名の勇者が現れ、世界の危機を救うという言い伝えられた創界山の英雄伝説により、ワタルは救世主として創界山を救う使命を負うことになり、粘土から巨大な魔神となった龍神丸、天真爛漫な忍部一族の13代目御頭・忍部ヒミコ、そして旅の途中で凄腕の剣豪・剣部シバラクと出会い、さらに鳥の姿をした青年、渡部クラマを仲間に加えてドアクダー討伐の旅に出る。

 

※引用元『魔神英雄伝ワタル』公式サイト

 

◆小学生(男子)なら今でも楽しめる作品。

幼少期に視聴して、2等身のロボットが面白かっこよく戦っているシーンを鮮烈に覚えている作品である。

 

「ハッキシ言って、おもしろカッコいいぜ!」というエンドコピーは中々にキャッチーで、当時はよく言っていたなあ、としみじみ思い出す。

 

龍神丸のデザインも、そのセリフに恥じず、コミカルな姿ではあるが、カッコいい要素もちゃんと含まれている。

 

物語全体についての説明や考察なんてものは、とりあえず本作にはまったく必要ない。

 

年間放映されている特撮ヒーローと同じく、多少エピソードを見逃していたとしても、大勢に影響はないのである。

毎回冒頭のあらすじを観ていれば、一話ずつ飛ばして視聴しても、大枠での話は理解できてしまう。

 

ターゲットはもちろん小学生全般くらいである。

 

そして1988年という時代は、まさにファミコンでのRPGブームが絶頂の頃である。

ドラゴンクエストで言えば名作である『3』が発売された年でもある。

 

風潮として、リアルロボットのテイストが主流になりつつあったロボットアニメ界において(※注:そんな界があるかは知らないが)、『ワタル』はもっと子どもたちが純粋に楽しめる明るいロボットアニメとして制作されたという経緯がある。

 

要所要所では、シリアスな展開があるものの、当時の子どもたち(アニシエもそのひとり)が熱中したファミコンのRPG要素と、ビックリマンチョコやSDガンダム・カードダスシリーズのようなデフォルメされた人物やロボットを組み合わせているため、子どもたちから(とくに男子から)人気が出ないわけがない作品に仕上がっていた。

 

しかし、これらはあくまで思い出の中の胸熱な思い入れであってこそであり、『ワタル』の存在を知らずに大人になってから視聴するには、あまりにも内容がシンプルすぎて退屈してしまうというのが、正直な感想である。

 

ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズをプレイしていれば、竜神丸やワタルの簡潔なプロフィールを知っているかもしれないが、平成生まれで美麗なアニメの数々に魅了されて育った世代には、なにか特別な理由がない限り、視聴しても退屈さが先行してしまうだろう。

 

◆しかし声優陣は豪華である。

というわけで、大人のアニメ好きとして、別の視点からの楽しみ方を考えると『声優陣の豪華ラインナップ』を堪能する、というのもアリな選択である。

 

主人公:戦部ワタル(いくさべわたる)に声を当てているのは不動の少年ボイスである田中真弓

ヒロインの忍部ヒミコ(しのぶべひみこ)には一時代を作り上げた林原めぐみ。味のある名脇役でありアニシエも大好きな西村知道は旅仲間の剣部シバラク(つるぎべしばらく)役を演じている。

 

『フルメタル・パニック』では厳しいマデューカス中佐を演じ、『機動警察パトレイバー』シリーズでは切れ者の刑事、松井を演じている西村氏がコミカルな演技をしているのは、けっこう貴重な作品である。

 

さらに途中から味方となる渡部クラマ(ワタリベクラマ)。通称トリさんは山寺宏一さんが担当と、主要メンバーだけでも豪華な布陣である。

 

 

毎週のように登場する敵キャラクターについても、じつは山寺宏一さんが何人かを受け持っていたりするのだが、声色を多少変えての演じ分けなので、これらの『声当て』も声優好きなら楽しい一面であるかもしれない。

 

膨大な数の敵キャラクターの中にも、かなりアニシエ好みのベテラン声優が隠れ潜んでいる。

 

……いや、べつに隠れてはいないんだけどね。声聞けばすぐわかるし。

 

『カウボーイ・ビバップ』のジェット・ブラックがはまり役の石塚運昇さん。

 

北斗の拳の予告ナレーションで一躍有名になった千葉繁

ロボットアニメが好きな方なら『装甲騎兵ボトムズ』のバニラ役で覚えている方もいるだろう。さらには『機動警察パトレイバー』ではシバ・シゲオ役を演じているいるが、こちらは本人がモデルとなっているそうだ。

 

そして名悪役の代名詞である大塚芳忠さん。

 

ガンダムシリーズでは味のあるキャラを演じる戸谷公次。『Ζガンダム』のカクリコン、『ZZガンダム』のゴットンと言えば、おわかりいただけるだろう(いただけないか?)。

 

毎回週替りでこれらの声優さんの声が聴けるのは、昔のアニメならではの贅沢である。

 

◆総評。

『ワタル』シリーズ(何作かある。いずれレビューしていきます。)においては、その物語性に対して何がしかの深読みをするような余地はあまりない。

 

基本的な姿勢は勧善懲悪であり(ファミコンのRPGと同じく)長い旅路の果てに悪の親玉を倒して、めでたくハッピーエンド。という結末が待っているのは誰しもが想像に難くない構成である。

 

なのでいま、改めて視聴するのであれば

 

1.あらゆるロボットアニメが好きで、とにかく片っ端から作品を観たい人(アニシエはここ)。

2.適齢のお子さんと一緒に懐かしいアニメを観たい人。

3.腐女子の原点ともいえるワタル✕虎王を一度ちゃんと観てみたい人。

4.なにかの片手間にBGM代わりに懐かしいアニメを流していたい人。

 

というように、何がしかの理由がなければ、とくに視聴する必要性はないように思える。

 

放送当時、現在で言う腐女子に圧倒的な指示を得ていた虎王×ワタルな妄想が花開いたのは、おそらく40話前後から実質的な最終回(話数としての最終回は総集編である)までの力の入った作画にファンが感動した、ということではないだろうか。

 

それまでの虎王はとくにかっこよく描かれていないので、なんとなくそんな気がしてならない。

 

あの最終回クオリティで全編描いてくれれば、もう少しきちんと襟を正して(というほどではないが)観ていたかもしれない。

 

ロボット、冒険、勧善懲悪な物語ではあるが、ほとんど人が死なないという珍しい作品なので、子供と一緒に楽しく観るにはうってつけだと思います。

 

 


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