評価:★★(35)
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TITLE | 超魔神英雄伝ワタル(ちょうましんえいゆうでんワタル) |
DATA | 1997年 |
目次
◆あらすじ。
神部界の創界山と星界山の危機を救った救世主ワタル。元の世界に戻り普通の小学生として暮らしているワタルにある晩、魔の手が迫る。魔界の王アンコクダーによってワタルに宿る救世主としての「良き心」が、盗まれてしまったのだ。「良き心」を奪われたワタルは人が変わったかのように悪事と喧嘩を繰り返すようになってしまっていた。そこへ、神部界からワタルを召喚するために現代にやって来たシバラクとヒミコに、魔界の王アンコクダーによってワタルの「良き心」が抜き取られていると告げられるが、素直に聞き入れようとしないワタルは無理やり神部界へと連れてこられてしまう。モンジャ村の村人から救世主再来を歓迎されるが、「良き心」と救世主としての記憶が無いワタルは混乱してしまう。そんな時に襲いかかる魔神に大混乱するモンジャ村の人々を、自分の身の危険を顧みず救助するワタルの心にひとかけらの「良き心」が目覚める。ようやく救世主の記憶を取り戻したワタルは、シバラクとヒミコとともにアンコクダーを倒すため第一界層へと旅立つ。
◆間違えてしまった……。
前回レビューした『魔神英雄伝ワタル』の続編かと思って視聴したのだが、この作品はTVシリーズとしては3作目にあたるということを記事の内容確認中に知った。
『ワタル・シリーズ』には続編である『魔神英雄伝ワタル2』があり、さらにOVAにて短編が発売されて、現時点(2018年)ではこの『超魔神英雄伝ワタル』が最後の作品となっている。
しかしまあ、後で知った情報なので、いまさら『2』を観てからレビューを書こうという気も起きない。いずれまたランダムに選んでいる中で当たったら、そのときに記述しようと思います。
そして、特に『2』を観ていなくても作中のストーリーに対する理解力はさほど変わらない。
いや、まったく変わらないと言ってもいいかもしれない。それくらい全てがシンプルな構成でまとまっているというのも、ある側面から(子供を対象としたマーケティングとしては)完成度が高いとも言える。
第一作目からおよそ10年の歳月を経て放映されたわけだが、ストーリーの展開についてはあまり多くを語るほど濃密なものではない。
子供向けであり、楽しいロボットアニメとしてのスタンスは保たれたまま、やはり最後に正義は勝つのである。
アニメーションの技術的については、さすがに10年の歳月分だけ進化している。魔神(マシンと読む)同士の戦いは、かなり手の込んだ描写があったりして、ロボット好きとしてはそれだけでも一見の価値はあると思えるほどである。
「やってることは一緒でしょ」というのは、評価の良し悪しにあまり関係がない作品とも言える。
しかし、やはり大人が観るとなると、その水戸黄門的なストーリー展開は冗長すぎると感じられてしまうだろう。
同じような感想を重複して書くというのも、あまり気の進まない作業なので、作品全体の感想については前作『魔神英雄伝ワタル』の記事を参照されたし。
大体において同じ感想である。
◆悪役声優陣は相変わらず豪華ラインナップ。
声優陣がバラエティに富んでいて楽しいのも前作と一緒である。声優好き(※悪役系のシブイ声好き)なら、毎回同じような展開だったとしても、声優さんが毎回変わるという理由で観るのはありだと思う。
主要キャラクターでは渡部クラマ(通称:トリさん)が登場しなくなった代わりに、スズメ役の宮村優子が加わる。『エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレー役や、『ベルセルク』のキャスカなど、気の強い女子を演じると、しっくりくる声質ですね。
噂の領域をでない話だが、クラマ役の山寺宏一のスケジュール調整がつかなかったために、クラマ的なポジションの別のキャラクターとして登場させたとか、しないとか。
悪役の中で注目したいのが、今は亡き塩沢兼人さん。あの妖しげな声が聞けなくってずいぶん久しいですね。『ガンダム』ではマ・クベ、PSゲームの『メタリギア・ソリッド』では謎のサイボーグ忍者を怪演されていました。
さらに、モブキャラの名手である龍田直樹。『ドラゴンボール』のウーロンと言えば、おおよその人は「ああ、知ってる知ってる!」となる声優さんです。アニシエの一押しは『戦闘メカ ザブングル』でのアドリブのようなセリフがとても印象的なのだが、それについてはいずれ『ザブングル』を視聴したときに記述しようと思う。
その他、個人的な好みで言えば山崎たくみさんや、改名前のチョーさん(旧:長島雄一)などなど、毎回誰が悪役で登場するのか楽しみに視聴できました。
◆総評。
本来であれば、内容的にはあまり変化しない子供向けのアニメ作品なので評価がだいたい同じでも良いかな、と思ったのですが、どうしても腑に落ちないことが一つだけありまして個人的な評価がマイナス修正となりました。
それは何かと言うと、龍神丸のデザイン変更の必然性です。
最初観たときから「あれ? なんでデザインが違うんだ?」という違和感を感じました。
見慣れたデザインより、少しだけ近代化されたフォルム。
龍神丸になにか変化が起きて形が変わったのだろうか? と不思議に思うも、「まあいずれ劇中で説明されるだろう」とのんきに構えていたら、結局最後までデザイン変更の謎についてはなんの説明もなかった。
後々調べてみると、なんとこのデザイン変更には設定上の必然性はないということが明らかになった。
少し大人の事情の話をすると、
- スポンサーがタカラからバンダイへ移行。
- 放送局も日テレ系からテレビ東京へと移行。
という2つの出来事が物事を大きくややこしくしたようである。
なので物語自体も続編のようでいて、どこかしらパラレル・ワールドの様相を呈している。
しかしまあ、話自体はそれほど込み入ったものではないので大きな問題はないが、それでも最後の方で虎王と翔龍子(=虎王の本来の姿)が、なぜかドッペルゲンガー的に同時に存在するという気持ちの悪い事態になり、この辺のなんでもありな世界観が、個人的にはちょっと受けいれ難かった。
心機一転、新しい『ワタル』を作ろう、という意気込みはよいのだが、続編の雰囲気の中で部分的なリファインを行うというのは、なんの説明も必然性もないと、観ている側が無用に混乱する元である。
龍神丸がさまざまな形態へと移行する『超力変身』システムは、ファンタジーなスーパーロボットとしてはありがちではあるが、変身した龍神丸のデザインはそれぞれにカッコイイ。
これまでにない戦い方をする龍神丸とワタルの物語としてはシリーズを通して観ている人にとっては飽きさせない工夫として評価できる部分ではあるが、そうなるとやはり最初の問題である初期のデザイン変更の理由が大人の事情以外にないというのが、ちょっと物悲しい。
どうせ変えるなら、そこにもエピソードを盛り込めばいいのに、もったいないなあ……という気持ちが評価を下げた理由である。
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