FILE:012 R.O.D -THE TV-

評価:★★★(50)

TITLE

R.O.D -THE TV-

(アール・オー・ディー/ザ・ティービー)

DATA 2003年

 

◆あらすじ。

 現代より少し未来。偉人軍団による“人類淘汰作戦”の事件から数年後。

香港のとある街に一軒の探偵事務所があった。その名も『三姉妹探偵社』。そこにいる三人の美人(?)姉妹は、本にまつわる事件の解決のため日夜活動していた。

彼女たちの名はアニタ、マギー、そしてミシェール。

無類の本好きである長女ミシェール、次女マギーのみならず、大の本嫌いの末妹アニタまで、実は「紙使い」の特殊能力を持っていた。

そんな能力を使ったり使わなかったりして依頼を次々にこなす彼女たちに舞い込んできた事件とは…?

※引用元『R.O.D -THE TV-』公式サイトより。

 

◆全力投球の第一話。

 

前作である『R.O.D -READ OR DIE-』から数年後のお話。

ちなみに、本作は原作が存在せず、オリジナルな設定とキャラクターがメインとなって物語が進行する。

 

なんというか、OVAとTV版の立ち位置が逆転している感じがある不思議なシリーズ作品である。

 

全体のトーンとしては基本的な部分で変わっているところはあまりない。

 

明らかに変わっている所としては、大英図書館の工作部員である『ウェンディ』のキャラクターであろう。

 

前作ではドジっ子キャラだったのに、なぜか今回はかなり有能なクールビューティ・キャラになっている。

 

オープニングも相変わらずセンスの良い岩崎琢の音楽と、テンポの良い映像編集で、観ている者をワクワクさせてくれる。

 

そして、その期待感を裏切ることなく、第一話がはじまり、圧巻のアクション・スペクタクルで進んでいく。

 

そして前作では『読子・リードマン』ただひとりが紙使いだったのに対し、本作では三姉妹それぞれが独自の個性を発現させた『紙使い』として登場する。

 

紙を硬質化させ、格闘戦を得意とする末娘のアニタ。

紙を傀儡人形に造形し、その特性を利用する次女のマギー。

弓などを造形し長距離攻撃に特化している長女のミシェール。

 

性格も三者三様で、よくバランスの取れている人物相関が描けている。それが第一話で端的に表現されているのは、よくできた構成である。

 

オマケの話だが、第一話の犯人役の声優さんが飛田展男さん(Ζガンダムのカミーユ役)であることも、アニシエ的評価(というかテンション)が上がる一因であったりする。

 

◆前半と後半でペースが崩れる。

 

スランプ中の作家であった『菫川(すみれがわ)ねねね』は、香港での自著の映画化プロモーションのため日本からやってくる。

そのイベントに際して脅迫文が送りつけられたことから、紙使いである三姉妹がボディガードの依頼を受け、見事にその依頼を完遂する。

さらに共犯者である双子の片割れにハイジャックされた飛行機を救うため、そのまま菫川ねねねと共に日本へとやってきた三姉妹。

 

彼女たちの不思議な共同生活が、ここからはじまった。

 

長女ミシェールと次女のマギーは、どちらも無類の本好きであり、日本の神保町(日本最大の本屋街)に行けると大喜びしているが、大の本嫌いである末娘のアニタだけが、そんな日本に馴染めずにいた。

 

こうして、彼女たちの日常が各話ごとに進んでいく。

 

ときに紙使いとしての仕事の依頼を受け、またときに学校に通いだしたアニタは周囲との軋轢や友情によって心を成長させていく。

 

前半の、日常と仕事で進んでいくパートは、それなりに楽しんで観ていける。

 

だけど、どういうわけか後半になると、途端にペースダウン&パワーダウンしてしまう。

 

簡単に言うと、シリアスな方向へ話が進んでいくと、

  1. 誰かが(あるいは三姉妹全員で)戦う。
  2. 誰かが捕まる。
  3. 助けに行く→脱出劇。

 

というパターンが何度か繰り返されるのである。

 

ちゃんと物語は進行しているのだけど、なんというか「あ~、またこのパターンか」というため息が思わずこぼれてしまう展開が多すぎるのが気になるところである。

 

◆やっぱり『本好き』があまり関連しない。

 

本にまつわる事件が発生するし、敵側の最終的な目的も本(=知識や価値観)の管理をする、というものであり、随所に本に対するリスペクトは現れてはいるものの、やっぱり主人公格の設定としての『本好き』というのは、あまり意義が感じられない。

 

むしろ、末娘のアニタが本を嫌悪しており、その理由が語られている部分の方が、視聴者としては惹き付けられる部分がある。

 

しかしこれは、あくまで物語の演出上の話であって、本そのものに対する深い洞察のようなものはない。

ネタバレ的な話ではあるが、そもそも敵側の行っていることもSF小説『華氏451度』(レイ・ブラッドベリ著)とほとんど変わらない。

 

あまつさえこの小説のタイトルを第16話でちゃっかり(微妙に変えて)借用していたりする。

 

詳しいあらすじは省くが、本作における悪玉の思想も、それほど意表を突くほど斬新な話でもない(古典的SF小説でも存在するようなものだ)。

 

悪役が世界平和を、人の尊厳を無視して行うという筋の物語は、意外にたくさん存在しているので、できればもう少しひねりが欲しかったというのが正直なところだ。

 

◆『謎』の開示。問題はタイミング。

 

後半は予定調和に話が進むのがかなりの精度を持って予測できてしまい、けっこう長く感じてしまった。

 

『謎』に対する『開示』をどのタイミングで行うべきなのか?

それと、謎が開示された後でも先を知りたくなるようなストーリーテリングを、いかにして構築していかなければならないか?

 

この2点の問題について、もう少し力を入れて構成を組んでほしかった。でなければ(謎が開示されてしまったあとの話というのが)もはや消化試合と化してしまうからだ。

 

さらに言えば、後半は各キャラクターごとに、ふさぎ込むようなシーンが多くなってくる。

話が読めてしまうのに、長い鬱々としたシーンが続くというのも、せっかくの2クール(26話)という期間を無駄に消化してしまっているような気がしてならない。

 

前半のような明るいエピソードとの対比という意味合いもあるのだろうが、もう少しだけ(不用な)ストレスを排して、物語としてテンポを上げたほうが、中身も濃くなって楽しめただろう。

 

とはいえ、これはあくまでアニシエの個人的な贅沢な注文であり、全体としては見応えはあるし、結末もスッキリしているのでアクションとサスペンスが好きな人にはオススメできる作品です。

 

◆15年目の真実。

 

wikiで細かい部分の確認作業をしていて、かなり気になる情報が記載されていたので記しておく。

 

本作は地上波放送当時、スポーツ中継やテレビ局の保守点検などが度重なり、なんと全26話中20話で打ち切り終了となっていた。

 

前作の『R.O.D -READ OR DIE-』のレビューで書いていたことだが、アニシエが全話観れなかったのは、そもそも放送すらしていなかったからなのだ!(力説)。

 

なんだか、ほんのちょっとだけ(アニオタとしての矜持として)胸のつかえが取れた気がして、嬉しい気分になりました。

 

wikiってすごいね。ははっ。

 

 


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◆よく考えてみると、この小説を現代風にラノベ風味でアレンジして分かりやすくしたのが本作なのかもしれません。