FILE:048 住めば都のコスモス荘すっとこ大戦ドッコイダー

◆評価:★★★★(75)

TITLE

住めば都のコスモス荘すっとこ大戦ドッコイダー

(すめばみやこのコスモスそうすっとこたいせんドッコイダー)

DATA 2003年

 

◆あらすじ。

神奈川県中空町にある専門学校に通うごく普通の青年・桜咲鈴雄は故郷である静岡から戻ってきたある日、株式会社オタンコナスの社員・タンポポと名乗る少女から自社のパワードスーツ・ドッコイダーのモニターになってくれと依頼される。

初めは断った鈴雄だが、アルバイト探しに苦難していたため承諾することに。

しかしそれは、銀河連邦警察がドッコイダーとそのライバルであるネルロイドガール、どちらのパワードスーツを採用するかのテストでもあったのだ。

その正体がばれたら失格。一方A級宇宙犯罪人として銀河連邦警察に囚われていた、Dr.マロンフラワー、ヒヤシンス、エーデルワイスの3人はドッコイダー、ネルロイドガールの正体を暴けば無罪放免になると言う条件でドッコイダー達と戦う。

しかもドッコイダー、ネルロイドガール、A級宇宙犯罪人達は、お互いの正体に気づかぬまま地球にあるアパート「コスモス荘」に住むことになるのだった。 

※引用元『住めば都のコスモス荘Wikipedia』より。

 

◆コメディだけど激アツ!

まず設定が面白い。

 

同じアパートに住むことになった主人公(正義のヒーロー)、さらにヒロイン(正義のヒーロー)。

そしてA級宇宙犯罪人の面々。

 

正義のヒーロー側も、悪役側も、それぞれがそれぞれの日常を保ちつつ、互いの命運をかけて繰り広げるドタバタコメディ。

 

そして主人公であるドッコイダーのデザインが、「これでもか」というくらいダサい。

 

そしてこのダサい格好のドッコイダーが、登場シーンでいつも生真面目なヒーロー的口上を述べるのが、この作品の(クセになる)見どころのひとつである。

 

口上は、毎回変わるので、それもまた楽しい。

 

全12話という短い作品であり、その8割がコメディである。

 

同じアパート(コスモス荘)に住んでいる敵と味方。

 

「なんでバレないのさ!」というお約束の笑いが散りばめられています。

 

そして、お約束ゆえに、わかっていても笑ってしまいます。

 

このままコメディ調で終わるのかと思いきや、終盤にまさかの胸アツ展開。

 

典型的なヒーロー物の展開だというのに、なぜか感動します。ヘタすると、ちょっと涙腺ゆるくなるぐらい感動します。

 

なぜそこまで感動しちゃうのか? それは総評でまとめます。

 

超熱いラスト。そしてダサかっこいいドッコイダー。

 

コメディだけでは終わらない。この演出の緩急が素晴らしい作品である。

 

◆作品の雰囲気がいいんだろうね。

良作のレビューであれば、いつも書いていることだが、それぞれのキャラクターがしっかり立っている。

 

1クール(12話)しかないのに、主要キャラは鮮烈に覚えているというのが、キャラ立ちしているなによりの証拠である。

 

そして、それぞれが個性的であり、そんな彼らがぶつかったり共闘したりするから、最後の感動を呼び起こす要因となりうるのではないだろうか。

 

ヒーローものでありながら、じつはコスモス荘という安アパートの住人がおりなす人間(のフリをした人たち)のドラマだったりします。     

 

そして主題歌。

サイキックラバーの「いつも手の中に」が、暑く激しい夏のひとときを的確に表現していて、聞くだけで胸が踊ります。

 

良作の条件として、OPと作品の中身がマッチしている、というのもありますね。

 

◆声優について。

キャラが立っているということは、すなわち声優の方々の技量が素晴らしいということに他ならない。

 

主人公ドッコイダーを演じるのは、浪川大輔。マジメでトボけたキャラを演じさせたらピカイチですね(褒め言葉か?)。

 

個人的に最高だったのはDr.マロンフラワーを演じていた緒方賢一。

 

アニメでは(それも往年の作品では)よく聞いていて、耳に残る声ですよね。

 

しかし、実はそれほど「当たり役」がないのです。個人的には『ファーストガンダム』デニム曹長がぱっと思い浮かびますが、他のキャラクターはまったく出てこない。

でも、絶対に聞いたことがある声だということは、聞いてみればわかります。

 

女性陣で言えば安定の釘宮理恵(エーデルワイス役)、三石琴乃(ヒヤシンス役)など。

いまでも豪華と呼べるほどのキャスティングですね。

 

モグモッグルのチョーさんも、いい味出してます。

 

声(と、その演技)だけで各キャラクターを即座に思い出せるというのは素晴らしいキャスティングだと思います。

 

◆総評。

その昔、OAでは最後まで観れなかったので、ようやく全話視聴できてスッキリした作品。

 

当時から面白いとは思っていたが、ずいぶん昔のことなので、その感性も幾分古臭く感じるかもしれないな、と思っていたのだが、そんなことは微塵もなく、大笑いして観れました。

 

王道のコメディ作品というものは、笑いの「核」をついているものであれば世代を問わず通用するものだと思わせてくれる作品である。

 

少し大袈裟だけど、いまなおチャールズ・チャップリンがキング・オブ・コメディアンとして世界的に認知されているのがわかります。

 

王道は時代を越えて面白いのだ。

 

ラストの子供の声援など、なぜかぐっと胸が熱くなる感じを得られるが、これは歳のせいなのかな? 

 

否、それが王道的そして普遍的な「熱血展開」だからであろう。

 

総体としての視聴者へ向け、最大公倍数での感動を作る場合は、これくらい分かりやすく、そして力強くテーマを描くのが適しているのかもしれない。

 

そのために笑いの基準を深く狭くマニアックにする。

 

その塩梅こそが作品作りの醍醐味としてなければいけない、ということを教えてくれる名作である。

 

もちろん欲を言えば、色々と細部で練り込むべき箇所はたくさんある。

 

あるいは原作では描かれているのかもしれないが、それらを推して知り、かつ「見立て」としてのアニメの楽しみ方さえ知っていれば、本作は誰が観ても納得できる面白さがある。

 

王道的なコメディで安心して楽しみたい、という人には超絶オススメです。

 

 


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