FILE:011 R.O.D -READ OR DIE-

評価:★★(35)

TITLE

R.O.D – READ OR DIE –

(アール・オー・ディー/リード・オア・ダイ)

DATA 2001年

 

◆あらすじ。

本に表紙と裏表紙があるように、世界にもまた裏の顔がある。
そこでは市井の人々には垣間見ることすらできない闘いがある。

そんな闘いに毎度毎度かり出される女がいる。
女の名は読子。読子・リードマン。職業、非常勤講師。
活字中毒の蔵書狂(ピブリオマニア)。
年齢25歳。ひどい近視。

しかし、その実体は裏の世界では“ザ・ペーパー”と恐れられる
大英帝国図書館特殊工作部の秘密エージェントである。

彼女の特殊能力は“紙使い”。
紙を自在に操ることが可能な、紙に愛された女。

今日もまた世界の変革を企む「世界偉人軍団」との闘いが待っている。
彼女の手にする紙一枚に、世界の運命が委ねられている……

※引用元『R.O.D -READ OR DIE-』公式サイトより。

 

◆時代が若かった。

 

その昔、まだアナログ地上波でテレビはブラウン管で、その画面が4:3だった頃の話。

深夜枠のアニメが勢いよく挑戦的なアニメーションを夜に送り出していた2000年代初頭。

 

その中でひときわ異彩を放っていた作品のひとつが『R.O.D -THE TV- 』であった。

 

当時はエアチェックする設備に乏しかったアニシエの個人的事情により(つまり金がなかったのだ)全話を通して見れなかったのだが、そのTV版において、謎の中核に位置する『読子・リードマン』という女性キャラが、結局なんだったのか分からずじまいに終わってしまった。

 

終わったというのは、作品の中で謎が解かれていない、というわけではなく、単にアニシエが観れなかったというだけの話。

 

ハードディスク・レコーダーなんてものも無かったし、ビデオの録画では放送日がズレてしまえばかならず穴が空いてしまう。

今のチビッコには『コレ』がなにかも知らないだろう。

タイマー予約の信頼性は、今ほど確実なものではなかったのだ。

まあ、そもそも予約するほどの事前情報すら、おいそれと手に入らなかった時代である。

 

その『TV版R.O.D』で、僕が最も印象に残っているのは、そのハイセンスな音楽である。

オープニングの曲と、それに完璧なまでにフィットしている映像が、今でも脳裏に焼き付いている。

 

あの当時のテレビアニメで言えば、そのクオリティは群を抜いていたように記憶している。

というわけで、良いイメージがあったTVシリーズの、言わば原点ともなる作品である。

 

◆設定負けしていませんか?

 

しかし……これが思いの外、素直に楽しめる作品ではなかった。

 

読子・リードマンという主人公の設定からして、そもそも蛇足的な面が多い気がする。

 

基本的には本が好きなドジっ子キャラクターであり、しかしそのエージェントとしての能力は一流である、というところがキャラクターの立たせたいポジションであるのはわかる。

 

しかし、そもそも彼女が本好き(ビブリオマニア=蔵書狂)である必然性がほとんどない。

申し訳ないが、能力が『紙使い』だから本が好きなのだろう、という程度の安易な設定にしか感じられないのである。

 

なぜそうなってしまうのか?

 

これは物語の作り方に及ぶ話になると思うけど、そもそも本が好きで、あらゆる蔵書に精通しているからこその機転や、暗号の解読などといった仕掛けが施されていないせいであろう。

 

原作(=ライトノベル)ではどうか知らないが、少なくともアニメの中では、ビブリオマニアだからこそ得られた情報や、危機回避につながる機転のようなものは何もおきなかった。

 

せいぜいが、そこそこの読書家であれば誰でも知っているような情報程度である。

 

ビブリオマニアが主人公だからといって、そこに文学的エッセンスが含まれているだろう、と期待して観ると、大きな肩透かしをくらうことになるので注意が必要である。

◆偉人の威厳が……。

 

2018年現在でいうと、歴史上の偉人が登場して物語を彩る作品はけっこう巷にあふれている。

 

『文豪ストレイドッグス』しかり、『クラシカロイド』しかり。

 

2001年当時で言えば、偉人が列挙して(しかも悪役側で)登場する作品というのは、あまりなかったように記憶している。

 

それにしても、偉人の威厳のなさが際立つ作品である。

 

どうにかかろうじて威厳を保っているのはラスボスの一休さんくらいである。

 

 

ファーブルに至っては人間びっくり箱的な扱いでしかなかったりする。

 

さらにベートーヴェンという大御所が登場するが、作中で名前すら紹介されないという、偉人として悲しさが満ち溢れているキャラとなってしまった。

 

◆やりたいことはわかるんだけどね。

 

岩崎琢が担当したオープニングテーマは、ものすごくカッコイイ。

このオープニングだけ観ると、かなり内容を期待してしまうくらいクールなサウンドである。

 

テーマ曲とオープニングの映像から、この作品はスパイ映画に対するオマージュのようなポジションを目指しているのだろうな、という雰囲気が漂っているのだが、フタを開けてみると予想外の異能者バトルアクションが展開される。

 

そして、なぜか壮大でダイナミックな物語であるというのに、全体がこじんまりとした印象を持ってしまうという不思議な感覚に見舞われる。

 

目を見張るほど、というわけではないがアクション自体は高い作画クオリティで描かれている。

 

紙が自由自在に形を変える、そのザワザワした動き方は紙のすれる効果音と相まって、どこか気持ち良さすら感じられる。

 

細部における設定をもう少し有効活用できるような方向で物語が進んでいったなら、面白い世界観ではあっただろう。

 

本作はTV版の前日談である。おそらく観なくてもTV版では最低限の説明はされるのだが、「それでもシリーズ通して作品を理解したい」という人はご覧ください、といったところです。

 

 


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