FILE:071 伝説の勇者の伝説

◆評価:★★★★(60)

 

TITLE 伝説の勇者の伝説(でんせつのゆうしゃのでんせつ)
DATA 2010年
STORIES 全24話

 

◆あらすじ。

相反する二人が出会った。

呪われた者として忌み嫌われ、生きる意味を見失っている『複写眼』保持者、ライナ・リュート。

王家の血を引きながら、母が平民であるがゆえに蔑まれてきた、シオン・アスタール。

二人は出合い、そしてこの腐った国を変えたいと、望んだ。

そして革命の末、ローランド帝国王に即位したシオンは、ライナに彼が獄中で書いたレポートを元に、その鍵となる『勇者の遺物』探しを命じ、剣の一族であるエリス家の娘、フェリス・エリスをお目付け役として同行させる。

 

超絶面倒くさがりで万年無気力のライナと、超絶美人で傍若無人なだんご至上主義のフェリス、どこから見ても相性の悪い二人だが、各国を跨いで『勇者の遺物』を捜す旅の中で次第にお互いを無二の相棒として認め合っていく。

ローランド帝国で二人の動向を見守るシオンもまた、いまだ残る貴族との内部確執、そして他国との争いの予感に王として苦悩しつつも奮闘していく。

だが徐々に、二人の思いはすれ違っていく。

ライナたちがかつて夢見た『みんなが笑って、昼寝だけして

いればいいような世界』を作ることができるのだろうか……?

※引用元:TVアニメ『伝説の勇者の伝説』公式サイトより。

◆「普通に」面白い。

こう言っては失礼かもしれないが、率直な意見として(そして良い意味で)普通に面白かったです。

 

ネタバレしない程度に解説すると、

怠惰でありながら強力な魔法使いであるライナ・リュートが、伝説の遺物の秘密を解明するために旅をするという物語。

 

本作品は、政治的な陰謀やキャラクター間の複雑な人間関係が織り込まれた、予想外な展開が魅力となっています。

そして、設定厨が狂喜乱舞しそうなほど細かな世界観の描写があり、ファンタジー世界への没入感と、その物語に深みを与えているのは高評価な部分です。

 

アクションシーンは美しく描かれ、特に魔法演出の創造的な使用が目を引く見どころの一つです。

2023年現在ではすでに熟成されている魔法演出も、2000年代初期から、本作が放送された2010年くらいが、黎明期だったような気がします。

 

カッコいいですよね。魔法陣のグラフィックが広がったりする感じのエフェクト。

 

大好物のひとつです。

 

キャラクターに関しても、時にコミカルに、時にハートフルに主人公と絡んでいき、それぞれに役柄としての動機や秘密を持って、活きたキャラとして描かれています。

 

ただ、本作で残念だと思う点も多々あります。

 

話数の都合上なのか、いくつかのエピソードが未解決のまま終わってしまっているため、若干の消化不良が起こっています。

続編を期待させる作り……と言われればそうなのかもしれませんけど、残念ながら2023年の現在に至っても続編の「ぞ」の字も出てこないのは、ちょっと物悲しいですね。

 

◆声優について。

なぜかは分からないけど、声優陣は超豪華。

 

なんだこのラインナップは!? どんだけ予算あるんだよ! てか、なんでこんな凄い顔ぶれ揃えているのに続編が制作されないんだよ! と、アニメ業界の闇を知る感があります。

 

主人公ライナ・リュートは福山潤さん。安定の主人公ボイスですね。ライナーの怠惰で自分勝手な性格を巧みに演じ、彼の内面の葛藤や苦悩を見事に表現している実力者です。

 

シオン・アスタール役の小野大輔さん。冷静沈着で知的なキャラクターであり、その卓越した知性と強い意志を表現するのにうってつけな声優さんですね。

 

空条承太郎も好きですけどね!

他にもアニシエ推しの声優さんが目白押しです。ざっと列挙するだけでも、

 

沢城みゆき(カルネ・カイウェル)、杉田智和(ルシル・エリス)、飛田展男(スゥルド・ステアリード)、中井和哉(レファル・エディア)、櫻井孝宏(ティーア・ルミブル)、小山力也(リューラ・リュートル)などなど……数え上げればキリがないほどのスタメンばかりです。

 

ということは、放送当時はけっこう力が入っていた作品だったんだなあ、ということが伺えますね。

 

というわけで、声優陣は素晴らしい精鋭揃い。それぞれのキャラクターを巧みに演じ、感情が込められた抜群の演技力で作品のクオリティを底上げしています。

◆総評。

冒頭に書いた通り面白かったです。

 

王道ファンタジーという意味では、本当に久しぶりの良作といっていいだろう。

もちろん、ラノベ発信の作品だけ会って、厳密に言えば王道ではなく今風の作りにはなっているが、作者がどのようなポイントを着地点としているのかがハッキリと分かるので、そこに煩わしさは感じられない。

 

難点として言わせてもらえれば(原作を読んでいないのでなんとも言えないのですが)主人公が二転三転する状況の中で、非道な行いをする者と瞬時にわかり合い共闘する部分は、ちょっと「?」と思いました。

 

人の恨みがそれほど軽ければ現実世界で戦争など起こらないだろうから、敵だったキャラが急に味方になっていく展開というのは、この作品の世界観とあまりマッチしていない気がします。

 

でもまあ、これはTV版の尺の問題なのかもしれないので、ここでは不問とする。

 

原作……読む時間があれば、ね(苦笑)。

 

広げた風呂敷を回収するための続編が出ないという体力的問題――これはラノベアニメの由々しき悪習でもある――がなければ、もうちょっと評価は高くてもいいかもしれない。

 

大長編のラノベをアニメ化するときは、記念的に作るのではなく、最後まで作りぬく覚悟をもって制作してもらいたいものですね。

 

それではまた。別の記事でお会いしましょう。

<執筆者:アニシエ>

 


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