FILE:070 ToHeart2

◆評価:★★★(45)

 

TITLE

ToHeart2(トゥハート2)
DATA 2005年
STORIES 全13話

 

◆あらすじ。

3月――寒い冬を乗り越えて、

ようやくたどり着いた芽生えの季節。

幼なじみであり腐れ縁な雄二と一緒の気楽な高校生活も、

ひとつの区切りを迎えようとしていた。

新しい季節が近づくにつれ、変わらないと思っていた日々が

少しずつ変化していくような気がする。

新学期にウチの学校へ入学してくる、幼なじみのこのみ。

雄二の姉であり、俺やこのみにとっても姉のようなタマ姉のこと。

それだけじゃない。季節と一緒に何かがやって来る、そんな気がするんだ。

 

もうすぐ春がやって来る。

去年とは違う春が――

※引用元『AQUAPLUS To Heart 2 for PS2』公式サイトより。

◆ニーソックスのパイオニア

アニメ、ゲームを嗜む者で、本作のタイトルを知らない人はいないだろう。

それくらい有名な作品である。

作品を観たことがない人であっても、原作のゲームを知らない人であっても、キャラクターはなんとなく分かるし、「タマ姉」という単語も聞き知っているはずである。

ニーソックスがいわゆるヲタク以外のカルチャーへ進出し、市民権を得て、普通の女子が愛用するに至った起爆剤としてのアニメーション作品は『けいおん』であると言われているが、そもそも、そこまでアニメのヒロインにニーソックスを履かせ、さらには『絶対領域』と呼ばれる、スカートとソックスとの間に見え隠れする素肌の太ももを『萌えるゾーン』として神聖視するまでに至ったその元祖は、おそらくタマ姉こと、本作のメインヒロインのひとりである向坂環(こうさかたまき)ではないだろうか。

それまでにもニーソックス、あるいはニーハイソックスといった商品は販売されていた。

だが、それが美少女と結びついて、萌える要素にまで昇華されていったのはたしかにこの時期であり、秋葉原に乱立しはじめたメイド喫茶のほとんどの店員が、我先にと白いニーハイソックスを着用していたのを思い出す。

大枠で言えば、定型文である「よくあるエロゲのアニメ化作品」群のひとつでしかないわけだが、それでも本作は、他の作品と一線を画する部分が少なからずある。

今回はその部分に焦点を当てて進めていこう。

 

◆評判としては賛否両論。

全編通じて、世間の評価は比較的良好ではある。

しかし、やはり原作ゲームとはストーリーの展開に相違点があるし、それぞれのヒロインへと分散してしまう(お決まりの)ヒロイン紹介エピソードのせいで、あまりにも平凡に過ぎる、という意見もある。
ちなみに、アニシエは原作のPCゲームもプレイしたことがある。

それぞれのヒロインにしっかりと物語があり、それをじっくり楽しめるゲームと比べてしまえば、「そりゃ薄味に感じるよねえ」と思います。

さらに言えば本作は、アダルトゲームが原作だというのに、ほとんどお色気シーンがない。

必然性のない肌色成分を、どちらかと言えば意図的に、極力削ぎ落としているとさえ感じられるほどにお色気成分が少ないのである。

つまりこれは、最初から完全に純然たる「萌え」要素だけで勝負するぞ! というスタッフの意気込みの現れだったのではないだろうか。そんな気がしてならない。

手っ取り早く視聴率を稼ぐなら(そして本作ほどの認知度があるのであれば)まずまっさきに肌色成分を多く盛り込もうとするのが定石である。

だが、あえてそのような安易な道を歩むことなく、キャラクター本来の魅力を表現することで視聴者を引きつけようという作りての真摯な態度が見え隠れする硬派な作品だといえるのではないだろうか。

なので好意的な評価を下している人たちは、キャラクターのデザインや音楽、声優陣の演技力などを高く評価しているようである。

原作のストーリーを再現できていない、と否定派は言うのだが、それは裏を返せば、ゲームを知らない初見の視聴者でも、すんなり物語に入り込んで楽しめるように配慮した結果だとも言える。

もちろん、原作改変によって駄作となる作品が多い業界なので、原作改変はホントに慎重にやってほしいことではありますが、恋愛ゲームを原作とする一本道ではない物語をまとめるときには、そのセンスによってどこまで視聴者を引き付けることができるのか、制作陣の腕の見せ所でもあるのでしょう。

個人的にはお色気もなく、ストーリーも凝縮していって、それでもなお最後まで視聴できたのだから、そこは決して失敗したわけではなく、原作に思い入れが強すぎる人たちとの熱量の差ではないのでしょうか。

 

◆声優について。

ぞろぞろ出てくる女性キャラについては割愛。書いていたらキリがないので。

主人公である河野貴明(こうの たかあき)を演じた福山潤さん。
好きな声優さんですね。『コードギアス』のルルーシュ役で惚れました。

以上です。
ほんと、ハーレム作品て女子抜いたら声優について語ることがほとんどないな。

 

◆総評。

前述した通り、ほとんどお色気シーンがない作りであるにも関わらず、「よくあるエロゲ~」系の作品として普通に全話視聴するという快挙を成し遂げた作品となった。

てっきりゲームの廉価版かと思っていたのだが、中身は硬派に(そしてきちんと)作られているアニメであった。

もともとが成人ゲームであるにも関わらず、全年齢向けのアニメーションであるということを逆手に取って、いっそお色気を抜きにしても視聴に耐えうる作品を作ろうという意志が汲み取れて、とても好感が持てた。

ゲームをプレイしたことがあるから、その想い入れもあるのかな……とも思ったが、実はそれほど原作ゲームの熱狂的なファンである、というわけでもない。

単純にバランスが良いのだろう。セリフ回しも野暮ったくないし、展開もスムーズだ。ハーレム作品の王道を進んでいるが、ワンパターンと感じるような間延びしたシーンが一切ない。

 

エンディングがこのみエンドなのが、いささか刺激の足りなさを感じるが、タマ姉エンドでは「いかにも」すぎかもしれない。

オリジナルを知っているから楽しめたという点があるが、それ以上にゲームと同じ題材をもう一度観ているのに退屈しなかったという、素朴ながらしっかりした演出手法はなかなか凄いことだと思う。

丁寧なストーリー進行を真面目に行えば、ハーレム萌えキャラ作品であっても佳作は出てくるという良い見本である。

<執筆者:アニシエ>

 


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