FILE:043 異世界の聖機師物語

◆評価:★★★(40)

TITLE 異世界の聖機師物語(いせかいのせいきしものがたり)
DATA 2009年
STORIES 全13話

 

◆あらすじ。

「ジェミナー」と呼ばれる異世界を舞台に数十メートルを超える巨人が闊歩する!
強力な亜法動力で動く巨大な人型兵器「聖機人」。それを動かすパイロットとして
一人の少年が地球より召喚される。その名は「柾木剣士」…
彼こそが梶島ワールドの名を継ぐ最強の少年、そして運命の少年であった…。
「天地無用!GXP」(’02年)発表以前から梶島正樹が構想し、梶島ファンの間でその
存在が噂されていた「異世界の聖機師物語」がついにそのベールを脱ぐ!
アクションあり、恋愛あり、温泉あり?!の学園コメディ、乞うご期待!

※引用元『異世界の聖機師物語』公式サイト

◆何も知らずにミテミタ。

キービジュアル(ウェブ上のポスターのようなもの)を一見しただけで視聴を決めた作品。

異世界へ召喚、さらにロボットも登場する。

ファンタジー要素もありつつ、ロボットも観れるとあれば、観る動機としては申し分ない。

 

というわけで、まったく予備知識を持たずして視聴してみた。

 

◆どんな作品かと聞かれれば。

この作品を端的に説明せよ、と言われた場合、アニシエは次のように答えるだろう。

 

「チートではじまり、チートで終わる。完全無欠のチートファンタジー」

である、と。

 

開始数分のイントロダクション的なエピソードは期待値充分だった。

「おお、この先どんな展開が待っているのだろうか」と、わくわくして視聴していた。

 

しかし物語が進むにつれて、主人公である柾木剣士(まさきけんし)のチートを超えたチート能力に、その後の展開における安定性のようなものを予感して、結果としてこの予感が的中してしまったので、今回の評価となっている。

 

戦闘技術のみならず、普段の生活能力(炊事・洗濯・掃除にいたるまで)まで、すべからくスペシャル級の能力を、なんの苦労も持たずに習得しているせいか、すべてのピンチがピンチに感じられないという勿体ない仕様となってしまっている。

 

作中の会話の中で、召喚される前に色々と仕込まれていたということを(さらっと)語るシーンが出てくるが、それだけでチートキャラであることを説明されてしまうと、自分何でもありなキャラです、と言っているようなもので、視聴者が納得する・しないの問題ではなくなっているところが脱力してしまうポイントとなっている。(※本作の後の作品『天地無用! 第四期]』にて、彼のチート能力を得る過程が多少なりとも解説されているらしいがアニシエは現時点で未視聴なのでここでは詳しく語りません/2019年10月)

 

また剣士が召喚してきたということに関しても、物語冒頭からすでに召喚後として登場しているため、あまり召喚された実感がない。

なぜ? どうして?

という理由についても、結局の所はあまりよく説明されないままに終わってしまっている。

 

とにかく最強無比な主人公が、めったやたらにモテまくる。

なぜならチーターだから。

という作品だということだ。

 

◆決して悪くはないですが……。

モテまくるにも、それなりの環境が必要なわけで、この作品ではどのようにモテモテ環境を構築しているかというと、ロボット(=以下、聖機人)のパイロット(=以下、聖機師)を一か所に集めて育成している、という設定を用意している。

様々な国家が聖機人を保有しており、それを(現代で言うところの国連のような存在である)教会が管理している世界なのである。

 

こうして聖機師候補が集められる『聖地学園』で剣士も生活することになるのだが、なぜか聖機師としての素質に恵まれている男性は少なく(ゼロではない)、結果として実力・性格ともに最高ステータスの剣士がモテまくる、ということになる。

 

この辺の設定はラノベでもよくある話で、アニメ化していて一番近い部類となると『インフィニット・ストラトス』なんかが似ているだろう。

 

モテること自体は、そこへ至る過程も含めて面白いエピソードもある。

前半部分の学園生活がのどかである分、その裏側で着々と進む陰謀のシリアス感もいい。

ハーレムものであるとはいえ、ちゃんと敵側にもそれなりの愛憎劇が用意されているし、それぞれのキャラクターも(主要な人物は)手厚く描写されている。

 

しかし、やっぱり強すぎるせいでハラハラしないんですよね~。

 

どれだけ緊迫していても、剣士なら大丈夫だろう、と視聴者(=アニシエ)が思ってしまうのです。

冒頭いきなりバトルからはじまったので、わりと殺伐としたシリアス系なのかと思いきや、後半までほとんど戦いらしい戦いがない、平和な学園の日常エピソードが続く。

しかし、そこでもチートな能力を発揮してしまっているからこそ、終盤の緊迫した展開に合っても安心感がぶれずに観れてしまったのだと思います。

 

◆『天地無用』との関連。

アニシエは、これまでのアニメ視聴歴の中で『天地無用シリーズ』を観たことがありませんでした。

『天地無用シリーズ』が人気を博していた90年代後半、アニシエはラブコメにほとんど興味がなく(ガンダム馬鹿でした)絵柄にもまったく惹かれる要素がなかったので、素通りしていたのである。

それでも、地球に美人な異星人がどんどん押し寄せてきてモテモテ・ハーレムな日常を描いたラブコメであろう、というくらいの最低限の情報はなんとなく知っていた。

そんなおぼろげな記憶しか持たなかったアニシエであったが、本作『異世界の聖機師物語』を視聴していて、ふと「観たことはないけど、なぜだか『天地無用』っぽい気がする』と、直感的に感じ取っていた。

というわけで監督である梶島 正樹(かじしままさき)氏を調べてみると、

 

おお、やっぱり『天地無用』の監督じゃないか!

 

と、直感が当たっていたことに驚きつつ、

 

「……ふっ。やはり俺のアニメ写輪眼の力はすさまじいものだな」と、自分で自分を褒めてあげたのでした。

 

まったく観たことがない作品との共通点をみつけることができた、という軽い個人的に嬉しい予感的中の話まで。

というわけで、本作は『天地無用シリーズ』のスピンオフに近い形式の物語であるということをついでに明記しておきます(wiki調べ)。

 

しかし、本作のようにファンタジー的な要素は『天地無用』にほとんどなく、同じような作風を期待して観ないように気をつけてください。

 

共通しているのはハーレム属性という部分だけですのでご注意を(それが大好きだ! という人にはきっとオススメ・シリーズです)。

 

◆総評は「もったいない」。

というわけで、物語の展開も、キャラクターの作り込みも、映像そのもののクオリティも、決して悪い部分はない。

 

大筋の話は勧善懲悪であり、個々の細かい設定では難しい部分もありますが、それを十全に理解しなくても、作品自体は楽しめるように丁寧に作られています。

 

しかし、やはり主人公がもう少し弱点というか、本当のピンチになるような仕掛けがひとつでもあったら、かなり面白くなっただろうなあ、という勿体なさは感じます。

 

ある意味でハーレムものに特化している梶島監督であるからこそ、この展開なのだろうということは理解できるのですが。

 

スリル満点なジェットコースター・アクションを望むなら、他へ行け。

モテモテ男がさくさく勝ちまくって、さらにモテモテになっていく物語が作りたいんだよ!

 

という、監督の執念すら感じさせるほどの安定性なので、これはもう好みの問題ですね。

 

ただひとつだけ。

 

最後の戦いに使用された武器が、剣とは名ばかりの高圧縮された岩石の塊であるというのは……ロボットに格好良さを求めてしまうアニシエには「最後がこれか……」というがっかり感がありました。

これもまあ、やっぱり好き嫌いの話ですね。気にしない人はまったく気にしないし、もうちょっと頑張って剣っぽく整形してもいいんじゃないか……と思う人もいるでしょう。

聖機人は、どれも独自のシルエットで竜をモチーフにしたデザインがカッコよく感じられたのですが、なぜかラスボスだけがいまいちのデザインでした。

 

岩石の棍棒と、いまいちなラスボスデザイン。

 

このふたつだけは、どうにか頑張って欲しかったなあ。

 

ハーレム系の物語全般が好きな人なら、オススメできる作品なのは間違いなしです。

 

 


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