◆評価:★★(39)
TITLE | SPRIGGAN スプリガン |
DATA | 1998年 |
STORIES | 90分 |
目次
◆あらすじ。
トルコのアララト山中にてアーカムの調査隊が「ノアの方舟」を発見した。その半年後、アーカムのエージェント「スプリガン」として活動している御神苗優に、爆弾ベストを着用させたクラスメイトを利用した卑劣な挑戦状が叩きつけられた。友人の仇とノアの秘密を探るべく、御神苗はアララト山へ向かう。
◆原作の大ファンです。
その昔、アニシエが中二病バリバリ全開な時代に、原作コミックを読んだ。
一発でハマりましたね。
普段は冴えない高校生の主人公・御神苗優(おみなえ・ゆう)。その正体は、あらゆる裏社会の組織から超古代文明のテクノロジーを守るためのスーパー・エージェント『スプリガン』。
彼が着ているジャンパーはアーマード・マッスル・スーツ(AMスーツ)という、超人化できるマッチョなジャケット。
弾丸は軽く弾き返すし、腕力は数倍に増幅され、幽霊を撃退するサイコ・ブロウなる技も出せる優れもの。
古代文明のオーバー・テクノロジーに、派手なアクション。中二病の全てに突き刺さる見事な設定と世界観は、当時のオタクを魅了してやまなかった。
そんな原作のエピソードの中から、特に人気の高い『ノアの方舟』編と『御神苗優抹殺計画』編をミックスしたのが本作品である。
あの御神苗優がアニメーションで動く。
それだけで胸ときめかせて視聴した。
結果。
おいスプリガン! お前いったいどうしちまったんだよ⁉
と、モニターを激しく揺らしてしまうほどのショックを受けてしまいました。
いや、悪くはないんですよ、うん。
ただ、なんと言いますか……うーん。ちょっと自分の想像していたものと違うと言いますか……。
なんとも微妙な感じになってしまいました。
詳しくは最後のまとめ、「総評」でお話します。
◆声優について。
ジャン・ジャックモンド役を子安武人さんが演じています。
ジャンというキャラも好きだし、子安さんなんて大好きな声優さんなんですが、なんと言いますか、混ぜてはいけないんですよねえ。
本作はこの「混ぜてはいけない」という感想がすべてを物語っているような気がします。
ちなみに僕の好きなチョーさんも声を当てています。こちらについてはあまり印象がない。
んー、残念。
◆総評。
物凄くお金をかけている作品である。
なにせ総監修に大巨匠・大友克洋を据えて、キャラクターデザインには江口寿史を起用。
他のスタッフも一流どころを揃えた気合いの入れよう。
というわけで、映像はメチャクチャすごい。とにかく動きが旧世紀の作品とは思えないクオリティである。2023年の現在であっても、これほどグリグリ・ヌルヌル動くアニメはそうそうないだろう。
しかし、それ以外はまったく問題外である。
何を言うにも、声優とキャラが合っていない。もっというと声優の皆さんが棒読みになってしまっている。
これは推察するに、ヌルヌルと華麗に動きすぎるアニメのせいで、無理矢理その動きにセリフを合わせるよう指示されていたのではないだろうか。だから感情を込めるよりも、リアル過ぎる口パクに合わせることを重視してしまったが故に、まったくの棒読みになってしまった……。
そんな邪推をしてしまうくらいに、アンバランスな印象を受けました。
そして極めつけが、原作を踏襲しつつオリジナリティを出そうとしている、究極の失敗パターンで作られているということ。
ジャンが獣人にならない。
獣人にならないジャンなんて、出演させる意味ないじゃーん!
と、原作ファンは思ってしまうのである。
でも節々で原作を匂わせているという中途半端なエピソードを入れ込むから、よけいに消化不良を起こさせる。
いっそまったくのオリジナル・ストーリーで作った方が、よっぽど大友ワールドを発揮できていたのではないだろうか。
残念ながら、アニシエ的評価は本作の映像美だけしかない。
だが、原作を知らない人のレビューをあれこれ読んでみると、
という評価もちらほら見受けられました。
原作ファンの方はどうでしょう? 僕はちょっとがっかりでした。
原作も大友克洋作品も大好きなのに、なぜこうなってしまったんだ『スプリガン』。
ただただ、残念である。
それでは、また別の記事でお会いしましょう。
<執筆者:アニシエ>
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