FILE:038 ひだまりスケッチ×365

評価:★★★(50)

TITLE

ひだまりスケッチ×365

(ひだまりスケッチさんろくご)

DATA 2008年

 

◆あらすじ。

憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。
親元を離れ、学校のまん前にある小さなアパート『ひだまり荘』で
一人暮らしをはじめたゆのは、そこで同級生の宮子、先輩の沙英と
ヒロの三人に出会う。

 

美術家の変わり者が集う事で有名なひだまり荘では、毎日がてんやわんやな
出来事ばかり。

 

しかし、慣れない生活に戸惑いつつも、優しく温かい仲間に囲まれながら、
ゆのは今ゆっくりと夢に向かって歩きだす。

※引用元『ひだまりスケッチ×365』アニメ公式サイト

 

◆前作とあらすじ一緒って……。

まず、当サイトのテンプレとして当該作品のあらすじを公式サイトから引用する作業というのがあるのですが、本作品の公式サイトを見てみると……

 

「え? あらすじ一緒なの?」
と我が目を疑いました。

 

念の為、前作『ひだまりスケッチ』の公式サイトを確認してみる。

 

「……すげえ、ちゃんとサイトは互いに独立しているのに、あらすじは一緒だぜ……ごくり」
と、驚いてしまいました。

 

いくら日常系という作品が、設定やキャラクターがほとんど一緒だということを知っているとはいえ、いくらなんでもあらすじまで同じままなんてことがあるんですね。

 

しかしまあ、これは手抜きでもなんでもなくて、そもそも作中の時間軸が第一期とほぼ同じだということが原因になっているのではないでしょうか。

 

基本1クール放送の中で、物語中の時系列がバラバラになっているのが『ひだまりスケッチ・シリーズ』の特徴である。

 

そして前作『ひだまりスケッチ』と本作『ひだまりスケッチ×365』は、ヒロイン・ゆのが1年生として過ごす1年間のエピソードを扱っているのである。

そりゃまあ、あらすじ一緒になっちゃうよなあ。なんせ劇的な展開なんてないんだから。

 

必然的に視聴した感想などもほぼ前作と一緒である。

 

 

というわけで、詳細は前作のレビューをご覧ください。

 

日常系についての歴史なども盛り込んでいるので、興味のある方は下記へどうぞ。
↓↓↓  ↓↓↓  ↓↓↓  ↓↓↓  
前作『ひだまりスケッチ』のレビューへはこちらをクリック。

 

 

以上、『ひだまりスケッチ×365』のレビューでしたー。

 

 

……というのは、いくらなんでも手抜きなので、ちょっとコラム的に日常系について考えてみたことがあるので下記に書いておきます(弱気)。

 

◆日常系。何も起きない世界への憧れ。

一昔前の学園モノと言えば、熱血な青春物語があり、ヤキモキするような恋愛模様がありと、大きく心を揺さぶられる作品が主だったラインナップだった。

 

高校野球アニメの名作『タッチ』、異色な学園ラブコメの元祖『うる星やつら』、ちょっとオシャレな(というかバブリーな)ラブコメ『きまぐれオレンジロード』などなど。

 

どの作品でも、その波乱に満ちた青春の輝きに対する憧れをもって視聴していた作品ばかりである。

 

「こんなイベント盛りだくさんのウハウハ青春時代を送ってみたい!」

 

学校という環境に多かれ少なかれ個性を抑圧されていた少年少女たちの無意識に芽生えていた、ちょっと背伸びした大人像に対する明確なイメージを、学園アニメやマンガの登場人物たちが示してくれていた。

 

少しベクトルが異なるが、ヤンキー系のアニメやマンガにしても、やはり背伸びした大人像を描いているからこそ、一時代を築くほどの人気があったのだろう。

 

2019年現代でも、これら上記のラブコメ系列がまったくないというわけではない。

 

『ToLOVEる』『中二病でも恋がしたい』など、いまでも王道のラブコメというものは存在している。
ではなぜ人は日常系を求めるのだろうか?

 

個人的には、携帯電話が中高生まで普及したことが最初の発端ではなないかと推察している。

 

さらにインターネット(=スマホ)の普及がその現象を決定的なものにして、それに呼応するように『日常系』というジャンルが(一過性のブームで衰退することなく)不動の地位へと着座したのではないだろうか。

 

現代の学生は、

  • リアルとしての学生の顔
  • リアルな友達(グループ)と繋がっているネット上の顔
  • ネットのみで繋がっている交友関係の顔

 

という、最低でも3つの顔(=ペルソナ)を持っている。

どれだけリアルな学校でニコニコして話していても、裏では悪態をついていることも多い。

 

昔のように面と向かって互いに対立するようなリスクを極端に避け、表面上は波風立っていないように振る舞うことのほうが多い。

 

通信インフラがまったく整っていなかったアニシエの時代にも、無視(シカト)やイジメはもちろんあった。

 

昔と現代の決定的な違いは、こうした通信インフラによる情報伝達の速度が圧倒的に早いということだろう。

 

ツイッターやYou Tubeの炎上騒ぎを見れば分かるように、悪評や悪意を持った情報というものの伝わる速度は、恐ろしいまでに加速している。

 

言葉ひとつ書き間違えただけで、いつ自分が被害者へと落とし込まれるかわからないような危険が常につきまとうような状態のなかで、人が心休まる場所を求めるような精神状態へとシフトしていくのは、むしろ自然な流れではないだろうか。

 

こうした、裏表がない学園生活(社会人としての生活も同じである)を送ることが難しくなっている社会的背景から、自然発生的にアニメやマンガといったサブカルチャーに求められるニーズも変化していくことになる。

 

それが、

できるだけ起伏のない、誰も深く傷つくことのない平穏な世界をひたすらのんびりと視聴したいというニーズであり、つまり『日常系』となるのである。

 

何も起きない・何も変わらない。すべてが優しい世界。

 

本来の学園生活がそうあるべき姿であり、じっさい情報インフラが整う前までは(優しいかどうかは別にして)学校というものは変化に乏しく退屈な場所の代名詞であった。

 

現代のような一挙手一投足を友人という仮面をかぶった裏の誰かに監視されているかもしれないという妙な緊張感を持って学生生活を送っている若者たちには、なにより変化のない世界の方がより魅力的に感じられているとしても、それはなんの不思議もないのである。

 

しかし、時代の流れ(=流行)というものはスパイラル状に巡ってくるものである。

 

『日常系』とコメディとしての『非日常系』があったとして、どちらが善い悪いでもない。

 

そしてふたたびこのバランスは逆転するものだとも思う。

 

あるいは共存して、さらに新しいジャンルが生まれ出る可能性も大いに有り得る。

 

なぜならアニメやマンガほど多様性に関して寛容なカルチャーはないのだから。

 

◆総評。前作のを参照してください。

ここまでまったく作品とは関係のない話を読んでいただきありがとうございました。

 

念の為、もう一度周知しておきます。

 

『ひだまりスケッチ』シリーズの総評としての感想は

前作『ひだまりスケッチ』のレビューへ。←こちらをクリック。

 


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